ここ数年、中堅社員へのモティベーションとして研修機会を与える企業がめだっています。当社の中堅社員交流研修には多数の参加のお申し込みをいただいておりますが、社内研修としてご要請いただいている場合でも中堅社員を対象とした機会付与が増えていることを実感しています。
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その一例として、最近、ご要請をいただいた社内研修をご紹介しましょう。「中堅リーダーに変革意識を!」を掲げた、この企業では、他の企業がそうであるようにビジネスをめぐる環境変化が厳しさを増すさなか、中堅社員の現場力に変革期待をかけての実施でした。
研修は2部構成で、前半は役割意識の変革として「リーダーとして自分を見直す」、後半はそれを「チーム目標の達成」に結びつけるプログラムとなりました。研修場面の随所でみられた「課題に真っ正面から向かい合う真剣さ」が印象的なこの研修では、それぞれの事業部が抱える課題をありのままに討議の土俵にあげることで、自部署内だけに止まりがちな視点や思考のワクを、部門を越える脱・担当業務意識へと転換させました。部署により職種によってそれぞれ抱える課題は違っても、討議を通じてその先の目指す姿や目標が、今までにない新しい商品やビジネスモデルの創出、それにともなう顧客満足の向上などを認識することに昇化させた参加者の真摯な姿勢に敬意を表する研修となりました。研修が進むにつれ、新任リーダーのお互いの胸中に当事者意識が芽生えたことがなによりの成果だったと思いました。
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いわずもがな、いまの時代は、未曾有の激動期。この高波は業界という境界線さえも消しながら ほとばしります。これに直面している企業は、現場のリーダーが危機感をもって主体的に変革に取り組む現場力の発揮を期待しています。現場こそお客様の生の情報に接することができる重要な原点でもあり、そこにはお客様の本音、不便や不満の声、自身でも気づかない見えないニーズが数多く内在する場所ともいえるのではないでしょうか。現場に精通する中堅社員がアンテナ機能を高めていれば新たな発見や課題解決のヒントを手にすることも可能であるといえます。それを手がかりに、今までにない新たな商品やサービスを生み出だすことのできる現場の出現は、競争優位の大きな要素となり得ます。事例でご紹介した企業もここに強い期待を込め、また参加者もこれに応えて、自分たちに新たなミッションをしっかり点火させた研修だったといえます。