不確実な時代に問われるリーダーのヒューリスティック ~1月開催中堅社員交流研修

製品やサービスのドミナント・デザインが確立するにつれ、企業の組織構造やルールもそれに従って最適に構成されると言われますが、一方でそれは既存のルールやアルゴリズムを超える新価値の実現を阻む要因ともなり得ます。とすれば、新価値やイノベーションの実現にはルールやアルゴリズムの対義である自由やヒューリスティックが肝要か?そのような問題提起を起点に今回は「発想やアイデアを生む・育むチームづくり」をテーマに取り組んだグループの討議に注目しました。

今回の研修では、新価値の実現のための探索的な領域を研究するチームのリーダーが参加されましたが、そのチーム運営においてはある程度のルールに則った運用をしながらも、リーダーの経験則や直感(ヒューリスティック)に基づいた意思決定が迫られる場面がある、との趣旨の発言がありました。言語化すらされていない曖昧な新価値を探索するような領域では、定型的な業務フロー(ルール)に則っていては処理できない事象の連続であり、アルゴリズムから外れた例外に対してリーダーは何らかの意思決定をすることが求められます。しかしそれは決して探索的な領域の仕事に限ったことではなく、不測の事態や不確実性における全てのリーダーに共通する時代の要請であり、ルールやアルゴリズムに拠って全てが判断できるのであれば、もはやリーダーの役割は不要と言えるかもしれません。この受講者の発言はグループ討議における他メンバーの琴線にも触れた印象でした。

不測の事象において「意思決定をすること」はリーダーが担う重要な役割のひとつであると同時に、リーダーの存在意義そのものであり、従前のルールやアルゴリズムの範疇を超えた不測の事象であるからこそ、自身の経験則や直感を信じて意思決定をしなければならない、というリーダーとしての役割意識が、討議を通じてグループの中で共有されていった印象です。