これほど激変時代の影響を受けた仕事のしかたをしているのが、いまのミドルマネジメントか!〜こんな印象を濃くした1年でした。それは、研修がスタートした時の自己紹介で「あなたの担当業務はいまどういう局面にありますか」をうかがった時に表れました。たとえば「商品開発の立ち上げ」に注力している人は、それだけに留まった仕事のしかたではなく「同時にその収益確保策にも着手している」と応えてくれましたが、これなどは、一度に複数のフェーズに関わっている事実を例示しています。生産系のミドルが販売職能の一端に与している例なども紹介されます。
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異化効果という点では、これも1つの異化であり、研修素材として扱いました。
こうした多層型の役割は交流討議にも少なからぬ影響を与えます。なかでも特筆できるのは、討議テーマに関連した情報やナレッジを積極的に吸収する姿勢です。たとえば担当ファシリテーターが、討議内容の充実をはかるために、と話した「変革を担うチームリーダーとしての自覚」「戦略としての人材育成」のエッセンスも取り入れながら自分たちの方策、いわば”自家薬籠中”のものとしたことがその例として挙げられます。さらに付言すると、このことは研修の最終フェーズである「ここで得たことを自分の課題解決に今後どう活かすか」にしっかり織り込まれるという成果を呼びます。
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つまり「研修のための研修」ではなく、いま抱えている業務課題や業務目標に今回の研修結果を何とか使おうとする姿勢が明確で、好感が持てました。このあたりを参加者ご自身の感想から見ることにしましょう。大別すると「どう取り組めばいいかの認識ワクが新たに生まれた」「明日からの実行にヒントをもらえた」「他社の事例や発言そのものが参考になった」となります。「どう取り組めば・・・」では「討議を進めていくプロセスで、自社にはない観点が見えてきて、自分がどう取り組めばいいかが分かった」とのことでした。これは<交流討議による”ゆらぎ”発生→随所でのファシリテーター・コメント→それをヒントにした再考討議>というプロセスが奏功したことを証した言葉といえます。
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「明日からの・・・」では、研修フェーズ間の相乗効果が生まれたとしています。つまり「他社のアドバイスをもらって自分が抱える課題に別な目線で取り組めるようになった」と確信を得ていただいたようでした。「他社の事例・・・」では、情報交換がそのまま交流討議に反映したようで「他社の状況、他メンバーの事例を聞き、新たなショックや共感を受けた。そのうえでミドルの役割が上下間のギャップを解消するところにあることが気づかされた」としています