チームビルディングのプロセスでは、メンバーがお互いの信頼関係を前提とした上で、意見をぶつけ合い、時には不協和音を生むような緊張感のある対話の場が肝要です。そのような混乱期(ストーム期)を乗り越えてることで相互理解が促進され関係性が育まれ、チームは活性化していきます。一方で各社の現状はと言うと「アイデアをだしたときに否定される」「安全サイドで考えて意見をつぶしてしまうという風潮がある」「声の大きい人に反論できない」・・・といった状況も多数報告されました。ファシリテーターからは、そのような組織の「老化現象」がある中でいくら仕組みや制度を整えたところで、その運用は形骸化してしまうことを事例を交えてお伝えするとともに、互いを認め尊重する職場風土づくりの中核となるのが中堅リーダーであることの自覚を促しました。
また、異なる価値観や意見をぶつけあう真剣な対話(健全な衝突)は、成熟したチームになるためのプロセスにおいて欠かせないものですが、それは認知的多様性を自己組織化するためにも重要な営みとも言えます。今回、自らが所属するチーム運営について様々な議論を交わす際に、多様な背景やメンタルモデルをもったメンバーがフラットな関係で議論しあうこの異業種交流研修の場が、ありたいチームのモデルケースになっていることにも注目して頂きました。受講後のアンケートにも「短期間だがチームで激動期を経てアウトプットを出すことを経験できた」「初見の方と1つのテーマで討議し、意見をまとめる過程が新鮮でした」といった声も散見されましたが、一連の議論を通じて、初見のメンバーで構成されたチームが徐々にお互いを認め関係性を育み、健全な衝突を経てチームとして質の高い成果を出していくプロセスを体験的に学んで頂けたものと考えます。