マニュアル至上主義がもたらす組織の無能力化 ~11月開催「製造職・技術職リーダーシップ交流研修」

今回の議論ではモノづくりの現場における徹底した「マニュアル至上主義」が他律的なメンバーを創る一因になっていることも再認識頂けたものと考えます。あるグループでは、突発的なトラブルや不測の事象が起きた際、経験豊かなベテラン社員が即座に対応してしまう事で、若手にノウハウが引き継がれないばかりか、人任せ(他律)になって業務負荷にも偏りが出ているといった弊害が報告されていました。若手作業員の想定外への即応力が弱まっている状況が露になったわけですが、その背景には「マニュアルから外れたことはやってはいけない」という認識からの思考停止、マニュアルに落とし込めない行間部分の暗黙知は共有化されていない、といった「組織の無能力化」があることが想像できます。作業手順への落とし込みが絶対視されていることへの危うさも感じた次第ですが、基本的な作業手順は指示しながらも想定外の事態への現場対応力を高める(=若手作業員の自律性を高める)には、その作業手順がなぜ必要なのか?マニュアルが作られた背景や目的が正しく伝えられているとともに、突発的な事象に対して自ら判断できる余白が作られていることも肝要であると考えます。実際の製造工程に限らずあらゆる現場における改善文化を停滞させないためにも、メンバーが創意工夫できる余白を用意することもリーダーの大切な役割の一つであると考えます。