今回の議論では『貢献意欲』というワードに注目しました。組織論の視点で捉えれば「組織からの誘因がメンバーの貢献を上回れば貢献意欲が高まる」ということになりますが、議論でも様々な誘因が提案されました。金銭的な報酬はもとより、成長機会の用意、承認、評価など多くの誘因が提案されましたがこれらの誘因を通じてメンバーの貢献意欲が高まったとしても、それだけでは組織として十分に機能しないこともまたリーダーが経験を通じて理解していました。そこで複数のグループで挙がったトピックのひとつが「チームのビジョン」でした。「チームのビジョンをメンバーも含めて全員で描くワークショップを行う」更には「決定したビジョンを自分のビジョンに落とし込むワークショップを行う」という提案は、小さな単位組織を預かる現場のリーダーだからこそできるメンバーのエンゲージメントを高めるきめ細やかな施策であったと考えます。そして議論は更にチームのビジョンを実現するために必要な『コミュニケーション』の機会が不可欠であるという話題に言及していきます。コミュニケーションを単なる情報伝達・情報共有に留めるのではなく、健全な衝突を促す風土づくりや、情報が流れるクリークを増やして組織の集合知を高めようとする営みへと昇華させることで質の高い議論になったと考えます。図らずも、これら『貢献意欲』『共通目的』『コミュニケーション』はチェスター・バーナードの組織の3要素と符合する内容でしたが、自組織のパフォーマンスを上げるためにリーダーとして何に寄与すべきか?の議論を通じて自らこの3要素について見出して頂けたことは特筆に値します。
