今回の討議では、メンバー一人ひとりが状況に応じてリーダーシップを適宜発揮する「シェアド・リーダーシップ」について議論が及んだ点に注目しました。当初議論では「リーダーシップはリーダー(上位者)が上から発揮するものだ。バラバラにリーダーシップを発揮しては統制が効かなくなる」との意見がありました。一方で「たとえ新人だとしても一人ひとりが保有する知識やスキル、知見には何かしらの秀でたものがあり、チームに貢献できるものを持っているはず」との声が上がったことで議論は転機を迎えます。職位やポストとしてのリーダーでなくとも、組織目標やビジョンの達成に向けて発揮すべきリーダーシップがあり、「リーダーシップを特定の個人に固定せず、タスクに応じて柔軟にリーダーを変える仕組みをつくる」という着想に至ります。議論の様子からは知識として「シェアド・リーダーシップ」の概念を知っていたわけではなさそうでしたが、図らずも近しい着想に至ったことは特筆に値します。加えて、タスクに応じてリーダーシップを交替することで、各メンバーが持つ技術や知見を組織内で共有できる、といった内容にまで踏み込めたことで、価値のある議論になりました。