制度(ハード)を活かす人(ソフト)づくりを考える ~9月開催中堅社員交流研修

今回の討議の序盤では、所属する単位組織の「仕事の仕方や仕組み」づくりに軸足を置いた議論が目立ちました。その過程では現状(あるいはこれまで)取り組んでいる各社の様々な制度も紹介されましたが、20%ルールやサンクスカードなどの制度が必ずしも有効に機能していない(形骸化してしまっている)という声も聞かれました。ではなぜ仕組みだけを導入してもうまく機能しないのか?各グループに立ち止まって考えて頂くことを促しました。20%ルールを例にすると、勤務時間の20%を将来のイノベーションの種となる探索的な研究や企画に費やすわけですが、言い換えれば、20%は意図的・戦略的に本来の業務遂行能力を行使しない、ということになります。人員も削減され残業も厳しく管理される中で、それを許容(推奨)するマネジメントや職場の空気が醸成されていないことが要因のひとつとして挙げられました。加えて、自分にとって興味のあるテーマに時間を割くことが、中長期的に組織の貢献に繋がるという動機づけ(なぜ20%ルールに取り組む必要があるのか?という腹落ち)がされていない、という要因も挙げられました。精緻に作りこまれた制度(ハード面)も、それを運用するのは人であり組織である以上、「動機付け」や「風土づくり」といったソフト面もあわせ考えて、人の行動を変える(行動を誘引する)メカニズムを形成する必要があるはずです。その点に気づいて頂いたことで、議論は「仕事の仕方や仕組み」づくりに留まらず、それらを運用していくためのヒトづくり、風土づくりに軸足を移していきました。