この交流討議ではミドルとしての様々なリーダー行動が報告されます。参加者の皆様は組織パフォーマンス向上のために現場レベルで様々なトライをすることで、何らかの結果(フィードバック)を得て、行動を「改善」することで目の前の問題解決、目の前の目標管理・目標達成にまい進されているはずです。一方でこの異業種交流の効果はリフレーミングにあります。
そもそもの前提を捨て、思考の枠組みや価値観自体を見直すことで、コンテクストそのものを「変革」することを意図しているいわば「ダブルループ学習」です。なぜこれからのミドルに問われるマネジメント課題として「価値創造」「組織変革」「自律型組織」「ダイバーシティー」が挙げられるのか?本質的な前提を問うことで、目先の問題解決に留まらず、将来を見据えたゴールイメージを描きそれへの方策を導き出すことを期待しています。
実際の討議においてはダイバーシティマネジメントに関して興味・関心の高い受講者が多い開催でした。今回の討議で注目したのは、「同質組織の利点」について議論がされた点です。「多様性のある組織」=「パフォーマンスの高い組織」と安易に「前提」を置くのではなく、同質組織(多様性の低い組織)ならではの利点と異質組織(多様性の高い組織)の利点を業務やタスクに応じて使い分けることはできないか?という「前提から見直す」議論が展開されていきました。今回の議論が秀逸だったのは、ダイバーシティには「デモグラフィー型」と「タスク型」の2つの種類があることを図らずも討議を通じて参加者自ら気づいた点と、業務やタスクの性質が、効率性(改善)を問われるものなのか、あるいは変化対応や価値創造(変革)を問われるものなのか、によって「タスク型」「デモグラフィー型」の多様性の効果と必要性をミドル自身が正しく理解し使い分け、メンバーにも理解浸透を図るといった結論に行き着いた点でした。