この研修では「継続的な価値創造のためにリーダーとして単位組織をどう変革していくか?」を議論しますが、研修の冒頭では「目指す変革の方向性(ベクトル)」を意識してもらうべく、アバナンシー&クラークが提唱したイノベーションの4類型を示しています。技術とマーケットの2軸でイノベーションを類型化したものですが、今回の受講者は特にこのマトリクスに鋭敏に反応し、議論の下敷き・OSとしてインストールしたうえで意見を交わしていきました。事業創出の基盤となるはずの研究・開発・設計部門に属する参加者の多くが、既存技術の深堀や日々のトラブルシューティングといった「通常的革新」の象限にいることが多数報告されました。成熟市場で高いシェアを維持し投資を回収していく「金のなる木」でもあるこの領域は利益の源泉ではあるものの、未来を見据えた変革リーダーとしてはこの領域に留まっていては持続的な新価値創造に繋がらないという共通認識がありました。既存技術の深化に留まらず、新技術を探索していく営みが必要だとする認識は「両利きの経営」を想起させる内容でしたが、その共通認識(≒危機感)を起点に、別の象限(間隙創造的革新、革命的革新、構築的革新)に向けたベクトルを具現化するためのチーム運営・育成・動機付け・環境整備・しくみづくりが議論されていきました。
