今回の研修ではエンパワーメント(メンバーの力を引き出すこと)が議論の底流にあった印象です。リーダーはメンバーの能力開発(=強みを伸ばす)と同時に、メンバーの強みを活かすための環境整備(=チーム力の強化)の両輪を回すことで、エンパワーメントを実現していくわけですが、今回のあるグループはまさに「個人力×チーム力の両輪で未来を創るチーム」をありたい姿に掲げて議論を進めていきました。一方で「メンバーの力を引き出す」と言ってもメンバー一人ひとりは表層的な属性も、また深層にある知見や経験も様々であり、一律な能力開発やチームマネジメントでは有効に機能しないということは、ミドル自身も身に染みて理解されている印象でした。そこで議論は徐々に多様性マネジメントに軸足を移していきますが、このグループではまず表層的な属性である「エイジダイバーシティ(世代の多様性)」に目を向けました。経験も浅く指示待ちで受け身の若手メンバーには大きなプロジェクトに参画する機会を与え、ミドルが指導やサポートもしながら(並走しながら)成功体験を積ませることでエンパワーメントを図る、といった提案がありました。その一方で、モチベーションが低下しているシニア層には、自身が持つ技能やノウハウをマスター(熟達者・師匠)として若手に「伝える・教える」という営みを通じて、「周囲に必要とされている」「誰かの役に立っている」という自己有用感を取り戻してもらいエンパワーメントを図る、という案が提示されました。メンバー一人ひとりが「働きがい」を感じながら、互いの強みを活かして成果を挙げることができるチームづくりこそが、ミドルにとって重要なマネジメントテーマであることを、議論を通じて再確認して頂けたものと考えます。