今回の討議では「何が起きても耐えられる組織」という表現が印象に残りました。ここで言う「何が起きても耐えられる」とは強固で堅牢な組織ということではなく、環境変化に合わせて柔軟に・俊敏に動く(挑戦する)ことができる機動性のある組織を言い表していました。そして、そのような柔軟で機動的な組織運営を実現するためには「不確実性(あいまいさ)に耐えられるミドル」の存在が重要な要素であることを討議を通じて自認して頂けたと考えます。
討議では、ミドル自身が「(挑戦よりも)目の前の管理業務に追われている」「過去の成功体験や前例に縛られている」「変わること(挑戦すること)を恐れている」「マイクロマネジメントをしてしまう」といった声が多く挙がりましたが、その様子からは不確実性やあいまいさを極力排除して最短ルートで意思決定し、指示命令を下す日々の管理行動が想起されました。一方で先を見通すことが難しく最適解も見出しにくいVUCAの時代ではそのような従来からの管理行動・管理能力に加えて、問題解決を急がず、多様な知見にも耳を傾けて熟慮し・深く考え続けるネガティブケイパビリティ(不確実性に耐える力)も問われるはずです。
「ミドル自身の厳格な管理行動が、メンバーのモチベーションや成長意欲を阻害し、ひいては管理職やリーダーになりたがらない部下を生んでいるのでは?」という意見も挙がりましたが、難しい問題解決や価値創造においては、ひとりの管理職やリーダーが全てを即断し指示命令を下すのではなく、メンバーもチーム運営や意思決定の場に参画をさせて、多様な集合知をもって熟慮の上で取り組む必要があります。ひいてはそれがメンバーの自律性を育み組織能力を高めることに繋がる、と言う意見も交わされました。